2014年8月5日火曜日

429.「儚い羊たちの祝宴」 米澤 穂信

昭和初期を思わせるレトロな文体が独特の気味悪さを醸し出しています。
ミステリーとホラーが融合したような5つの短編からなります。

殺人者にはいずれも良心というものが欠落しており、淡々と語る語り口に狂気を感じます。

作中、絞殺のうえ、首を切り、手首を切り落とすという、佐世保女子高生殺人事件を彷彿とさせる殺害方法がでてきます。この殺人者も人を殺すことにためらいも罪悪感もありません。

小説中の不気味さが現実社会に滲み出しているような感覚に囚われました。