2014年8月11日月曜日

435.「ぼくは勉強ができない」 山田 詠美

普通と違うことを権威で統括する組織。学校はその最たるものではないでしょうか。

教師も一人の未熟な人間でありながら、その未熟さを隠すために”先生”という尊称で呼ばせて、子供に服従を要求します。

自分で上手く説明できないことをごまかすために、「それが普通だ」と押し切ろうとします。生徒達は、成績、停学、進路などを盾に取られているために、その「普通」に従い、疑問を持ちません。

主人公の秀美は、自分の感性を重視し、その「普通」を「つまらない」と言い切ってしまうため、教師から睨まれます。彼の発言、行動をクラスメイトは受入れず、最初は仲間に入れませんが、内心は自分達も同意し、彼に好感を抱いています。

「普通」に疑問を抱かない社会と、自分の感性で生きようとする子供が遭遇する日常的出来事に一服の開放感を感じました。