2014年9月9日火曜日

464.「動物農場: 付「G・オーウェルをめぐって」開高健」 ジョージ オーウェル、 開高 健

農場主を追い出し、動物たちの理想の共和国が作られましたが、豚の独裁者が現れ、徐々に独裁国家となっていきます。

プロットが単純ゆえに問題の本質がとても明らかになっています。古典と呼べる本ながら、現代の独裁国家や組織内紛争の本質を実に表現していると思います。

共和国が作られ、最初に作られたのが七誠という憲法のようなものですが、次第に勝手な解釈が生まれ、ついには、拡大解釈を生む文言が勝手に書き加えられていきます。

文字が読めない動物、読めても何も考えない動物は、独裁者にいいように操られます。その手法は、簡単なスローガン、独裁者の私設軍隊、仮想敵国、歴史の捏造、プロパガンダです。

そして、利益がひそかに独裁者に収奪され、民衆は飢えに苦しむ一方、支配者層は富、肥えています。

平等を謳った建国から、密かに独裁に移っていくプロセスが非常によくわかります。

何故、中国が日本を避難し続けるのか、何故、急に友好を求めてくるのかを、独裁国内部から考える観点を与えてくれます。非常に深い示唆を与える名著です。