2014年10月6日月曜日

490.「モンスター 」百田 尚樹

和子は、奇形的に醜い少女でした。4歳の頃、同じ幼稚園に通う英介に恋をしますが、英介は、引っ越してしまいます。和子は、ブルドッグのような容姿ゆえに小学校で「バケモン」と呼ばれます。

和子は、高校で英介と再会し、英介への想いがエスカレートしていきます。思いつめた和子は、自分の醜さを英介に見られないように、英介にメチルアルコールを飲ませて失明させようします計画に失敗した和子は、町中の人から「モンスター」と蔑まれ、家族から東京へ追いやられます。

東京でも醜さゆえに合コンや就活で失敗し続けた和子は、プチ整形で目を二重にします。そのことから人生が変化し始め、整形を繰り返していくようになります。和子は、数年後、英介が地元に帰ってきたことを知り、自分も地元に戻って、フランスレストランを開業し、英介との再会を待つのですが・・・

500ページの長編ですが、さほど長いと感じませんでした。ストーリーの面白さと、一文が短いという文体によるものでしょう。

整形がエスカレートしていく心理や、整形によって本人の性格が変わっていく様がよく描かれています。また、「顔より心だよ。」という言葉が虚構であるとことを何度も見せつけられます。顔が人間社会において与えている影響力の大きさ、その影響力の虚しさを考えされられました。