2014年10月7日火曜日

491.「キアズマ」 近藤 史恵

サクリファイス、エデン、サヴァイヴと続く自転車競技シリーズの4作目。

前3作は、実業団やプロの自転車部の話でしたが、本作は大学の自転車部の話です。

私自身、自転車ロードレースに知識も興味もありませんが、著者が易しくかつ面白く描いているので飽きることなく楽しめます。

大学に入学したばかりの正樹は、ちょっとした諍いで自転車部部長の村上に怪我をさせてしまいます。正樹は、村上が復帰する1年間だけという約束で自転車部に入部します。自転車ロードレースに全く興味がなかった正樹ですが、やっているうちにどんどん面白くなり、恵まれた体格から急成長を遂げていきます。

スポーツとそれに伴う事故。そして、事故が選手生命どころか、その後の健常者としての生活や、命までも奪ってしまいます。事故への恐怖や、責任に苦しみ抜いて、その呵責を乗り越えたときに見えるものは何でしょうか。