2014年10月9日木曜日

493.「土の中の子供」 中村 文則

2005年の芥川賞受賞作です。

「私」は、両親から捨てられ、遠い親戚の家を転々とします。愛情に触れることなく、虐待され、放置されます。

そのために、ダメになることに惹きつけられ、破滅を求めるようになります。

恐怖に感情が乱され続けたことで恐怖が癖にように、血肉のようになって「私」の体に染み付いています。

そして、恐怖を克服するために恐怖を作り出して、それを乗り越えようとしたため、自暴自棄な行動を繰り返します。

最後に、「僕は、土の中から生まれたんですよ」と言える心情に達した「私」に心の平穏を感じました。