この本を読むまで、小笠原諸島が1968年までアメリカ領であったことを知りませんでした。大変不勉強です。
日本返還により、その時点でグアムの高校に在学していた子供達はアメリカ国籍を選び、小笠原諸島の中学校に在籍していた子供達は日本国籍を選んだそうです。一つの家庭の中で国籍の異なる家族が存在する状況になりました。
小笠原諸島は、日本の他の島に比べて、新参者に対する許容度が広いようです。それは、島という閉鎖社会ゆえに泥棒が殆どいないという環境と、綺麗な海に憧れて住み着く新島民の流出入によるもののようです。
人生再生塾ということなので、実務的な講義内容かと思いましたが、その中心は、小笠原返還によって運命を左右されて島民達の体験談を聞く、社会学でした。登場人物たちは、国家、国籍、選択などを考えることで、自分の生き方を再構築して、社会に戻っていくのでした。