2014年11月25日火曜日

527.「ボクが医者になるなんて」 川渕 圭一

37歳で医師になったという異色の職歴を持つ著者が30歳にして医学部に入学するまでの物語です。

著者は2浪して、東京大学工学部に入学します。東京で一人暮らしをしていた著者は、出張で東京に来ていた父と夕食を共にします。長年のわだかまりが解けて、やっと素直に心を通わせるようになります。

しかし、その夜、ホテル・ニュージャパンで火災が発生し、宿泊していた父は巻き込まれて焼死してしまいます。呆然とする著者は、父の記憶を遠ざけるようにして生活するようになります。

大学時代はナンパに明け暮れ、大学院に進んではパチプロとなり、結局、退学してしまいます。入社した商社は激務のため、1年で退職し、次に入社した外資系メーカーではうつ病を発症して退職します。

通院先の3人の医師の診療に不満を持った著者は、
「これなら、僕のほうがよっぽどマシな医者になれる。」
と考えます。そして、封印していた医師だった父の記憶に向き合い、30歳で京都大学医学部に入学します。

正直なところ、大学時代と大学院時代の話は、軽薄で無責任すぎてうんざりします。恐らく、自分が人の子の親であるからだと思います。

しかし、自分の大学時代を振り返ってみると、あまり大差がなかったようにも思えます。20代というのは、成人式を過ぎ、大人と見られていますが、内実は無責任で目標も曖昧でその時々を浮遊しているのかもしれません。