2014年12月3日水曜日

533.「時計じかけのオレンジ 完全版」アントニイ・バージェス

スタンリー・キューブリックの有名な映画の原作です。

「ビブリア古書堂の事件手帖」で、結末が異なる2版あることを知り、興味を持ちました。

こちらは、映画の結末と異なる、著者オリジナルの完全版です。1962年発表ですが古びていません。


「時計じかけのオレンジ」とは、洗脳によって行動を規制されたもろい果実のような人間を表わしているのでしょうか。

未来のナッドサット言葉なる単語が頻出するため、少し読みにくいですが、独特の雰囲気を醸し出しています。翻訳者の苦労は並々ならぬものだったのでしょう。

アレックスが殺人で逮捕されたのが15歳の時です。釈放された後、洗脳が解かれたのが18歳。映画では確か洗脳が解かれ、元に戻った不気味な雰囲気で終わったような印象があります。

原作で著者は子供が大人になるということを最後に描きたかったのではないでしょうか。