2014年12月11日木曜日

539.「七色の毒」 中山 七里

人間が隠し持つ憎悪や殺意を、殺害につかわれた凶器の色に擬えて描き出しています。

人に対する悪意は一人だけが抱くものでなく、複数の人が同時に抱いていることがあります。

殺人事件の殺害方法や動機が一見単純に見えても、その背後には何人もの憎悪が渦巻き、互いに教唆しながら実際の殺人が行われる。そんな構図を非常に短いページのなかで、見事に描いています。

物語の最後にどんでん返しがあり、最後のページまで目が話せない、スリリングな短篇集です。