2015年1月8日木曜日

554.「明日の子供たち」 有川 浩

児童養護施設「あしたの家」で暮らす子どもたちと、そこで働く職員たちの物語です。

児童養護施設についてはよく知らなかったので、初めて知ることが多かったです。

児童養護で暮らす子供たちは、とても明るい子が多いけれど、その裏には影がありました。親から育児を放棄されたことにより、本能的に相手の反応を推し量って、相手を値踏みすることが習慣になっているようです。

職員たちは、「施設の子」という偏見によってハンデを持たされた子どもたちが恥をかかないように、心を鬼にして躾を見に染み込ませようと奮闘します。しかし、職員たちは、子どもの幸せを願い、使命感に燃えながらも、子供たちが直面する現実によって、変節し、心が折れてしまうこともあるようです。

愛情という一言では表現しきれない深い思いやりによって育てられた子どもは、肉親の愛情には恵まれなかったものの、幸せだなと思いました。