2015年1月14日水曜日

558.「デビクロくんの恋と魔法」 中村 航

2014年に公開された映画の原作です。

読み始めは、フワフワしたつかみどころがない話のようにと感じました。主人公の光の性格や日常が非常に穏やかだからです。

しかし、「デビクロ通信」の登場から様子が少し変わっていきます。穏やかな光の抑圧されたダークサイドが徐々に出てきます。そこから物語が展開を始めます。

この「デビクロ通信」出てきたとき、作者は絵まで書くのかと感心しました。そこに書かれた詩は、素人っぽく、支離滅裂ながら、何だか心に引っかかります。主人公光の性格をよく表わしています。

そして、光の友達の杏奈の気持ちが描かれると、それが切なすぎて、読み進めるのが辛く感じるほどでした。子どもの頃からの杏奈の想いが語られるにつれ、杏奈の一途さが募って行きます。

ラストのデビクロ通信第1号の話がとても素敵だと思いました。