山女(山ガール?)がどんな殺人事件を引き起こすのかと読み進めましたが、なかなか殺人事件は起こりません。
最後に崖から突き落とすのか、トリカブトで毒殺するのだろうと想像していましたが、結局誰も死にませんでした。
「これは、ミステリー小説ではない」
1編目を読み終えた時、やっと気づきました。
では、つまらなかったのかといえば、結構面白かったです。
登山という、人間関係が一緒に登る人に限定される状況で、主人公の相手に対する感情や過去の拘りが徐々に溶解していく。その過程で自分自身の軸というものが明確になり、僅かだか自分に自信を持てるようになる姿が描かれます。
7つの短編で7つの山が舞台になりますが、登ったことがなければ表現できない程、それぞれの山が詳しく描かれています。著者は「花の鎖」でも登山を重要なポイントとしていますが、登山が趣味なのでしょうか。
私は登山をしませんが、楽しく読め、人間の心理の機微を味わうことができました。