子供の頃に読んだ、少年探偵団の世界がうまく再現され、かつ、携帯電話、インターネット、DVDなどの現代の技術も違和感なく組み合わされています。
オリジナルを再現しようと試みているためか、子供向けに仕上がっており、大人が読む分には少し物足りないです。登場人物等を同じにして、もう少し大人向きに書いたほうが、子供の頃、少年探偵団に夢中になった読者層に刺さったのではないでしょうか。
また、怪人二十面相を「らんぼうがきらい」と描写する一方、子どもを力強くで拉致させたり、安易に拳銃を使わせたりする部分で、怪人二十面相の品位を損なわせている点が残念です。
「探偵は、その人の身になって考えなければいけない。その人がただしいか、まちがっているか、だけじゃなくて、その人には、なにが、どう見えるかとかんがえなければいけない」と、子供たちに物事の見方を投げかける点で子どもに対する著者の思いが伝わりました。