2015年2月26日木曜日

586.「最貧困女子」 鈴木 大介

単身女性の3分の1が年収114万円未満で、その中で10~20代女性を特に「貧困女子」と呼んでいます。本書はその層より下の「最貧困女子」を取材しています。

この層の女性たちの主な収入源は、セックスワークです。出会い系サイトに毎日書き込みをするか、それすらできない場合は、繁華街で立ちんぼします。家がない子も多く、ラブホテルか、ネットカフェか、ファミレスで一夜を過ごします。

多くの子が子供時代に育児放棄や性的虐待を受けており、お菓子を食べて飢えを凌いできた結果、肥満しています。そして、セックスワークに対する抵抗感が低く、セックスワークしか収入の手段がありません。その結果、妊娠、出産することとなり、シングルマザーとなることも多いようです。

学校も途中で行かなくなっているため、文字を読むことに苦手意識を感じ、公共施設に相談すると子どもを養護施設に入れられてしまうとおそれているため、生活保護の申請などもできません。

そして、精神的に病んでゆき、セックスワークの中でも最下層の仕事に追いやられ、最貧困から抜け出せなくなっていきます。

この悪循環をなくすには、どうすればよいのか、すぐには思いつきません。ただ、個人の努力だけでは解決できそうもなく、行政の施策が重要だと思いました。