2015年3月3日火曜日

589.「ひらいて」 綿矢 りさ

短歌のような短いリズムある句が続く独特の文体です。簡潔で無駄がなく言葉が選びぬかれているため、その表現の味読し、心に残ります。

主人公の愛は、同じクラスのたとえに恋をします。しかし、たとえには既に美雪という彼女がいます。愛は、二人の仲を引き裂こうとしますが、逆に自分が壊れてしまいます。

愛は、外交的と思っていた自分が、実は無意識に周囲に自分を偽っていたことに気付きます。そして・・・。

女子高生の心の襞や思考の変化がとても自然に描かれていきます。感情移入はしないものの、心情の機微を理解できました。