2015年3月9日月曜日

593.「寄居虫女」 櫛木 理宇

「寄居虫」と書いて、「やどかり」と読むんですね。初めて知りました。

顔中白塗りの年齢不詳の女が他人の家に入り込み、いつしかその家の全てを乗っ取る。

潜り込んだ家で始めは家の掃除や食事の用意など家族の欲望を満たして信頼を得ていく。話を全て聞き出していくうちに眠れなくさせ、判断力を奪ってから暴力と褒美で洗脳していく。

話をどんどん聞き出して子どもの頃からの悩みや恨みを記録しそれに捺印させることで心理的に拘束する。

そして、家族間の猜疑心をあおり、お互いに監視させて支配体制を完成させる。

家族を他人が支配するなどあり得なさそうな話ですが、ここで示された手法は現実味があります。支配される土壌は家族自体にそもそも存在し、その隙をついて入り込んでいきます。

尼崎殺人事件など現実の事件もあるので、空恐ろしい話でした。