2015年5月13日水曜日

635.「家族喰い――尼崎連続変死事件の真相」 小野一光

少なくとも3つの家族が喰われて消滅した尼崎連続変死事件のノンフィクションです。登場人物が多くかつ、喰われた家族の子ども達が角田美代子の養子となっているため、非常に複雑で理解しづらいです。

警察の対応が本当に遅い。というより、ほぼ門前払いです。理由は、角田美代子が家族同士で殴らせたりしているので、家庭の問題となり、民事不介入として警察が介入してこないのです。非常に巧妙な手口です。

しかし、角田ファミリーが恐れていたのは、警察と弁護士でした。警察と弁護士に駆け込むと、お金をむしりとるのに手間がかかるためです。

事件の発覚となったのは、被害者の大江さんが事件が起きた兵庫の警察ではなく、大阪府警に駆け込んだからです。他県の県警に駆け込まれて、面子を潰された兵庫県権が仕方なく動き出して、連続殺人が発覚しました。最初から兵庫県警が動いていれば防げた連続殺人でした。

角田ファミリーの事件は、たまたま明るみに出ましたが、大江さんの事件が発覚しなければそれ以前の猪俣さんや谷本さんの事件は闇に葬られたままでした。

こういった事件で、まだ明らかにされていない事件がまだまだあるように思いました。