2015年5月15日金曜日

637.「大阪都構想が日本を破壊する」 藤井 聡

京都大学教授の藤井先生による、大阪都構想に関する7つの事実と7つの真実です。

私は、ずっと東京で育ったので大阪都構想はよく分からないし、深い関心もありませんでした。しかし、この本を読んで、大阪都構想は大阪に限らず、日本全体に影響を及ぼすことが分かりました。

大阪都構想とは、大阪府の単なる名称変更ではありません。
大阪府のうち、3割を占める大阪市を5つの特別区に分割し、それまで大阪市が担っていた自治権を大阪府に移管して、それに要する税金2,200億円を大阪府が徴収するということです。

そのため、大阪市がこれまで持っていた都市開発の権原とその予算が大阪府に取り上げられ、大阪市以外の出身者が7割を占める府議会によって、大阪市の自治が決定されるというものです。

徴収された2,200億円は目的税ではないため、実際には、巨額の赤字に喘ぐ大阪府の損失補てんにも使用される可能性が高いです。

そもそも、単に大阪市が5分割されるだけの決議なので、可決されても大阪府が大阪都にはなりません。分割後に都への名称変更のための決議が別途必要になります。

大阪市民にとって不利益が大きい大阪都構想ですが、なぜこの構想が推進されたのでしょうか。それは、現大阪市長が大阪府知事だったときに、大阪府の負債を増大させ、それを解消するために財源豊かな大阪市に目を付けたのかもしれません。