2015年7月13日月曜日

678.「趙紫陽 極秘回想録 天安門事件「大弾圧」の舞台裏!」趙紫陽、 バオ・プー

天安門事件の責任を押し付けられ、16年もの長きに亘り非人道的な長期の自宅軟禁生活に置かれた元国家主席、趙紫陽の回想録です。

厳しい監視の中にあって文書を残すことができなかったため、カセットテープに録音し、分散して隠しておいたものがまとめられています。それゆえに、当時の中国共産党の内実が赤裸々に暴かれています。

私は、中国の経済的躍進と天安門事件の武力弾圧は、鄧小平により行われたと思っていました。しかし、鄧小平はその旗振りをしただけで、実際の実行者は他にいました。

鄧小平は、改革開放を旗印に市場経済化を急速に進めようとしましたが、具体案はなく、高い経済成長目標が急激なインフレを引き起こしました。

これに水をかけて調整したのが、もう一人の長老である陳雲でした。彼の計画経済がインフレを抑制しました。

この2人の間を取り持って、具体的な計画を立案し、実行したのが、趙紫陽でした。彼の手腕により、中国経済は成長を遂げることができました。事実上の功労者でした。

しかし、趙紫陽の成功を良しとしない李鵬は、姚依林と組んで趙紫陽を失脚させます。天安門事件で武力弾圧を強く主張し、鄧小平にこれを認めさせることに成功します。そして、武力弾圧に反対したことを理由に趙紫陽を国家主席から解任したのです。

この事件を機に、趙紫陽が目指していた民主化は途絶え、民衆を武力で弾圧するという共産党単独政権のファシズムに傾倒していきます。そして、民衆を武力で押さえるけるために軍事力が増強され、その目的を隠すために反日教育が利用されたのです。

趙紫陽が政権を維持していたら、現在とは全く違う中国と周辺国の関係になったいたと思います。世界は、本当に惜しい政治家を失いました。