2015年9月30日水曜日

730.「「昔はよかった」と言うけれど: 戦前のマナー・モラルから考える」 大倉幸宏

戦前(大東亜戦争前)の方が、日本人の道徳心が高かったとの意見をたまに聞きます。本書は、新聞や書籍に掲載された内容を基に、当時の日本人の道徳心の実情を明らかにしています。

結論から言えば、当時も今と変わらない、いや、今以上に道徳心が低い状況にありました。

電車には服が破れるほど殺到し、そこら中で痰を吐き、屍肉を食品に混ぜ、図書館の本や破り、内通で生まれた赤ちゃんは殺される。

最近、どこかの国で聞かれるような内容で、日本人が野蛮だと眉をひそめるような事が、100年前の日本でも日常的に行われていました。

「衣食足りて礼節を知る」と言いますが、国家の盛衰が民度に影響するのでしょう。戦後の復興で豊かになった日本人が道徳心を高めたのでしょう。そして、「昔はよかった」という声が出てくるのは、長いデフレにより日本人が貧しくなってきており、道徳心が徐々に低下しているのかもしれません。