2015年10月9日金曜日

737.「英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる」 施 光恒

個人が英語を学ぶことの有用性は高いですが、国家として公用語とすることは弊害が大きいです。

日本人全体として英語力が弱いと言われますが、それは日本語で地理、歴史、数学などの学問を極められることの裏返しです。それが中韓に比べ、ノーベル物理学賞などの受賞者が圧倒的に多い要因ともなっています。

つまり、英語で高等教育を受ける必要がなく、母国語の日本語で高等教育を受けることができるということなのです。

明治時代にも、英語を公用化して西洋の学問を学ぶか、英語を「翻訳」「土着化」して学ぶかの議論があったそうです。その時に、「翻訳」「土着化」で高等教育を学ぶことが選ばれました。それが国家独立の礎と考えられたからです。非常に優れた判断だったと思います。

早稲田大学の建学の理念の1つが「邦語による教育」であったそうです。そして、それまで用語としてなかった「経済」などの単語が生まれました。中華人民共和国の「人民」「共和国」も日本の造語であり、中国に逆輸出されました。

現在のGDP上位5カ国は、アメリカ、中国(?)、日本、ドイツ、フランスです。このうち、英語が公用語の国はアメリカしかありません。一方、英語を公用語化したフィリピン、ケニアなどは、未だ経済力を備えていません。そうすると、英語公用語化と経済力は関連性がないようです。

もっと、母国語たる日本語の教育を重視し、英会話の教育よりも、深い思考や科学の教育に時間を使ったほうがよいと思いました。