2016年2月22日月曜日

861.「傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった」小野美由紀

著者の半生記です。完璧主義の母に理想を押し付けられて、壊れていきます。中学時代に不登校となり、リストカットを繰り返して、精神科へ。

高校時代は、自分が使用した生理用品を売却して小遣い稼ぎ。

第三志望の大学に進み、自信のなさから男性との性行為に救いを求め、サークルに入るが、処女喪失を果たせず、六本木のキャバクラでバイトを始めます。

一流大学、TOEIC950点、インターンとの華々しい肩書を持って就活を始めたものの、ストレスからパニック障害を発症し、就職を断念。

スペイン巡礼で様々な国の人と触れ合うことで多様な価値観、職業観を知ります。

しかし、帰国しても定職につけず、シェアハウスで引きこもります。ブログをキッカケに編集者の目に止まり、作家としてデビュー、本作がデビュー作です。

母との関係が子供の人格を作ることがよく分かります。母から褒められることを望むものの、完璧主義の母は、欠点のみあげつらい、それに応えようとすることで優等生になったものの、いつも不安に苛まれて、いつしか精神が破綻してしまいました。

自分が親の目を基にして、責任を親に押し付けていたが本当は自分に問題があったことに気付いた時に自立があります。しかし、だからといって、完治したわけではなく、皆、不安をかかえたモラトリアムとして生きているのでしょうか。