2016年5月24日火曜日

929.「パリ行ったことないの」 山内マリコ

気軽に読める短編集です。

日本で生まれ育ち、日本の閉塞感に倦んだ人達が主人公です。

12作中、11作目までは、「フィガロ・ジャポン」で連載されていたとのことで、軽いタッチのパリに憧れる話です。肩が凝らないのですが、読後にあまり残らない・・・

しかし、書き下ろしの12作目でこれらの話がまとまりを見せ、それまでの話に深みが出ます。

日本では社会にうまく対応できなかった人達が、南仏の風土に触れ、もっとゆったりと生きてもいいんだと気づいて解放される、再生の物語です。