2016年8月11日木曜日

987.「ユートピア」 湊 かなえ 集英社

2016年の山本周五郎賞受賞作です。

文体がかつての書簡形式といった独特なものから、ごく普通の文章となっていますが、特徴的だった心理描写は健在です。

殺人事件はありますが、オドロオドロしい猟奇殺人でその犯人を探すという形式ではなく、殺人事件をキッカケとして田舎町の人間関係や、人間感情を描いています。

イヤミスの領域を超えた文学小説ですが、著者の特徴でもある嫌な感情と猟奇殺人がないため、物足りないと感じる人も多いのではないでしょうか。

最後の最後まで、どんでん返しが仕組まれており、楽しく読めました。