2016年11月14日月曜日

1042.「問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論」 エマニュエル・トッド、 堀 茂樹

「問題は英国ではない、EUなのだ」というタイトルですが、現在のEUにしたのは、ドイツだと言っているので、本当は、「問題は英国ではない、ドイツなのだ」と言いたかったのだと思います。

英国がブレグジットを選択したのは、ドイツに支配されているEUからの離脱であるといいます。
ドイツは、この仕組から離脱し、新たに欧州北部で経済圏を確立しようとしていると予測しています。

さらに、今後20年は欧州が瓦解する時代になると予言しています。

中国については、今の繁栄は中国の指導者が選択したものではなく、外国の資本家によって作られたものでは、早晩崩壊するとしています。

これに対して、日本は軍事力を強化し、科学面、経済面でも常に中国に先行すべきだとします。過去の日本の軍国化は欧米諸国と同じことをしただけであり、過去から決別すべきだといいます。現在、軍事力を増強しても防衛力の範囲を超えることはないからです。

そして、米国との安全保障を強化するとともに、ロシアとも協力して中国に対峙すべきとしています。

非常に示唆に富んだ一冊でした。