タイトルもテーマも、地味で、正直魅力的ではありません。だけど、読むと涙がじんわりたまる温かい作品です。
「買い物弱者」という言葉を初めて知りました。過疎地で高齢化の進んだ漁港の町が舞台です。若者は都会へ出ていき、残された高齢者達は買い物がままなりません。
主人公の珠美は、都会で大学生活を送っていましたが、夢見ていた生活は色あせています。そんな時、故郷に住む祖母が買い物に困っている現状に気づき、移動販売を始めることを決意します。
お金、ノウハウ、お客さん、様々な困難を乗り越え、やっとの思いでおつかい便を立ち上げるのですが・・・
子供の頃の母親の事故死、フィリピン人の継母との確執、引き籠もりの同級生など、日常的な様々な悩みに向き合っていく女性の姿が描かれ、読むとほっとします。