2017年2月6日月曜日

1094.「四月になれば彼女は」 川村 元気

始めから独特の空気感を感じさせる作品です。

主人公のモノローグの合間に、意識が周囲の風景に飛びますが、全く本筋と関連がないような風景がその時の感情を間接的に際立たせているように感じられます。

燃え上がった恋愛感情が薄れていく様、セックスなき結婚生活の意義、結婚後も相手をずっと愛し続けられるのかという疑問などが問われています。

恋愛感情が薄れた後に夫婦を結びつけるものの一つが子供として表現されているように感じました。

それでは、子供がない夫婦は恋愛感情や性欲が無くなった後にも、愛情を保てるのかという根源的な問いかけに対する一つの答えを見たような気がします。