2019年2月18日月曜日

1336.「夢を売る男 」 百田 尚樹

牛河原は丸栄出版の敏腕編集部長。次々と新人作家を発掘して本を出版しています。

というのは見せかけ。
出版したいという人間に「ジョイントプレス」という言葉で匠に惑わし、著者から200万円を出資させて本を出版し、その殆どを利益としています。

とても胡散臭い話なのですが、次々と引っかかっていきます。自己顕示欲を満たすべく冷静さを失ってしまうからです。

その本は売れるはずもなく、次々と絶版になっていきます。しかし、著者達は騙されたことに気づきません。なぜなら、出版したいという夢は叶っているからです。

皮肉な話ですが正に「夢を売る男」。出版界の裏事情が分かって背筋が冷たくなりますが、結末は気が利いていて気分よく読み終えました。