2013年11月27日水曜日

179.「エリック・ホッファー自伝―構想された真実」 エリック ホッファー

「沖仲仕の哲学者」エリック・ホッファーの自伝にして最後の著作。

労働、読書、思索という最も平凡な行為を積み上げ
哲学という最も非凡な宝石にまで磨きあげました。

7歳で失明し、15歳で突然視力を回復したホッファーは、
再度の失明をおそれ、失明する前にと、朝から晩まで読書に耽ります。

幼少の時に言われた「お前の寿命は40歳まで」という予言を信じこみ、
28歳の時、仕事に失望し、「今死ぬも10年後に死ぬのも何が違うのか」
と服毒自殺を図ります。

その苦しみの中で、本当は生きようと望んでいる自分に気づき、
自殺するのをやめた後、労働者として生きるのではなく、
放浪者として生きる決意をします。

金持ちの農場主が自分の財産を失うことを恐れる姿を見て、
ホッファーは、「自分は安全。季節労働の仕事は必ずあるから。」
と話しました。
持たないゆえ失うことのない安心感、
不安定ゆえ次に移れる安定感といったところでしょうか。

死を予言された40歳から、サンフランシスコの港湾労働者となり、
労働と著作の日々を送ります。
毎日違う職場、違う上司のもとで単純労働しながら、
頭の中では、ずっと思索していました。

60歳で仕事をやめた後は、著作に専念し、80歳過ぎまで行きました。
お金や地位や安定に囚われず、読書に生き、周囲から尊敬されるように
なった姿を尊敬します。