2013年12月25日水曜日

204.「波止場日記―労働と思索」エリック ホッファー

沖仲士の哲学者、エリック・ホッファーの1958年6月1日から1959年5月21日までの日記。

ビジネス本でよく、「本は借りずに買え。そうしないと、内容が身につかない。」と書かれていますが、ずっと疑問に思っていました。

何故、同じ本を読むという行為なのに、借りると身につかず、買うと身につくのか、と。

沢山買うとスペースも必要となるし、お金もかかる。図書館で借りて、必要なところをノートに転記すれば、スペースもお金も必要ない。

これでいいのだろうかとずっと確信を持てずにいました。しかし、本書でホッファーも、図書館で本を借りて、デイブックという、どこに行く場合にも持っていくノートに保存する価値のある引用文とか思想を全部写しとり、ノートに一般になると検討すると書いてあったので、自分のやり方に自信が持てました。

この日記でホッファーは、波止場に行っても仕事にありつけない日が多々あり、生活への不安感も口にしています。その不安から逃れるように思索に向かっていきます。

毎日単純労働に明け暮れますが、彼の思索は高度であり、学校教育を受けていないゆえに独創できです。そして、日々肉体労働に従事しているため、彼の考えは机上の空論ではなく、現実に則したものとなっています。

学校教育だけが学習の場でありません。現代では、学歴は思考の深さを証明するものではなく、履歴書でのブランドとなっています。

彼の生き方を見ていると、企業での立身出世や、IPOでお金持ちになることが、成功の全てや幸せの在り方ではないと思わせてくれます。