2014年1月26日日曜日

233.「日本ダメだ論の正体~新聞テレビは日本を9割ダメにする!」 田村 秀男、 渡邉 哲也

本書の主題は、マスメディアと経済についてです。経済は数値化できて答えを導きやすいからだそうです。


様々な論点があり、それぞれ目が開かれる思いでした。
特に、消費税増税の影響についてが勉強になりました。

消費税増税は、外国人投資家の目を気にした経産省のミスリードです。彼らは税率を上げなければ、税収が増えず、その結果、国債が売られるという3段論法を展開してきました。
しかし、国債の90%以上が国内の機関投資家が保有しているため、外国人投資家が10%未満を投げ売りしたとしても、国債の暴落は起こりません。
そもそも、消費税を上げても、買い控えが起これば、消費税以外の税収が減るので、前提も怪しいです。

円安により輸入の材料費が値上がりしています。大手企業は大量購入によるバイイングパワーがあるため、価格交渉であまり影響を受けませんが、中小企業はもろに影響を受け、原価が上昇し、利益が減少しています。

その状況で消費税を上げた場合、大手は下請けの中小企業にその負担を求めますが、中小企業は自社でやりくりするしかありません。

さらに、大手企業は、輸出比率が高いため、円安により売上が上がりますが、中小企業は国内比率が高いため、円安が売上に影響を与えません。

その結果、中小企業は、売上が横ばいか減少したところに原価上昇というダブルパンチで利益が減少します。中小企業の景気がさらに悪化する可能性があります。

この本での一番の収穫は、渡邉哲也さんや三橋貴明さんの主張が大手メディアに属する田村秀男さんからも認められていることがわかったことです。ご両人の書籍はわかりやすく、納得行くものだったのですが、大手メディア側からの意見を聞いたことがなかったので、本書により信頼度が増しました。