2014年2月18日火曜日

256.「天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債」 幸田 真音

日露戦争を戦闘面から描いた話は沢山ありますが、金融面から描いた話を初めて読みました。

考えてみれば、戦争には膨大な費用がかかるのは当然で、資金が確保できるか否かは戦況に大きな影響を与えます。

日露戦争に勝利できたのも、是清が戦費を確保できたことが非常に大きいです。戦費獲得の苦闘の中で、是清は多くの知己を得て行きます。これらの任務は決して自ら望んだものではなく、押し付けられたものですが、最善を尽くすことで、経済人として政治家として大きく成長したのでした。

日本が軍備を拡大し、大東亜戦争に突入していったのは、参謀本部と海軍本部との競争であり、その影には元老山縣有朋の存在があったとの構図も暗示されています。日本が大東亜戦争に巻き込まれていく原因を解く、一つのヒントになりました。