これは、「破綻」とはかなりことなった内容が書かれています。
林原の経営の実情は、研究開発のみ健氏が担当しており、その他の営業、人事、総務といった経営全般は靖氏に一任していたとのことです。
そして、3か月に1度の開催が義務付けられていた取締役会も実施には開かれず、議事録は捏造され、社長印が勝手に押されていたというのです。
監査法人は置かず、監査役3人は、母親、長男、いとこで母は2001年に脳血栓を患ってから出勤実績がなく、長男も体調を崩してから出社していません。それにも関わらず、報酬が支払われていました。
健氏は美術品、靖氏は株と不動産に会社のお金を流用し、健氏用の子会社と靖氏用の子会社を作って本体の収益を還流していました。
本書の内容は、ほとんど言い訳に終始し、破綻の責任を靖氏に負わせています。実際に破綻に関与したのは靖氏ですが、巨額の研究開発費を要求し、経理内容は全くチェックしなかった健氏に一番の責任があると感じました。
それとともに、林原を礼賛した書籍を記した牧野昇氏をはじめ、成功体験を描いたビジネス書はやはりあてにならないと実感しました。