2014年7月28日月曜日

421.「破綻──バイオ企業・林原の真実」 林原 靖


2014年4月8日のブログで
308.「創造のちから―「不思議な企業」林原の発想」 牧野 昇
について記載しました。
これは、インターフェロンなどユニークな製品で知られた林原の成功の秘訣を記したものです。

しかし、林原は、2011年に会社更生法の適用を受けています。

本書は、同族企業林原を経営していた兄弟のうち、弟の靖氏の破綻に至った内実を描いた実録です。本人によれば、自分は専務という立場から社長の補佐に徹していたとのことです。

本書によれば、事業は有望で経営は堅調であったそうです。
問題は、1,300億円の巨額の借入金でした。
破綻の原因は、殆どすべて銀行と弁護士のせいにしており、特に住友信託銀行が一番責任があるように読めました。

上記の書籍では、工場を持たないファブレス企業であったことが成功の秘訣のように書かれていますが、経営を担当する立場から言えば、本当を製造部門を持ちたかったようです。製造を持っていればそこから研究開発に投資する利益を上げることができるからです。

破綻後に弁済率は93%であり、全く破綻する必要はなかったようです。
では、なぜ破綻したのか。
それは、粉飾決算による2重帳簿など、不透明な経理内容に銀行が不信感をもったからではないでしょうか。