2014年11月11日火曜日

518.「ホテルローヤル」 桜木 紫乃

北海道の湿原に建てられら、ラブホテル「ローヤル」を舞台に7人の人生が描かれます。誰もがごく普通の人ながら、情欲に駆られ日常を一歩踏み外す。人間の秘められた欲情を豊かな描写で暴き出しています。2013年の直木賞受賞作品です。

登場人物の生活が現実的過ぎて、気分が悪くなりました。仕事の厳しさ、老いの臭い、老後の無収入、僻地の貧困などが非常に生々しく描かれています。

そういった状況で、事件が起こるのですが、きっかけは日常の歯車が少し狂っただけなので、誰にでも実際に起こりうる事件です。そして、現在の日本の閉塞感も感じられる作品でした。