2014年11月18日火曜日

523.「神様の裏の顔」 藤崎 翔

人格者で「神様」と呼ばれた、元中学校校長の坪井が心不全のため68歳で死去します。
坪井を慕う、多くの元同僚や元教え子が通夜に参列し、涙します。そして、それぞれが故人との思い出を独白します。

故人からしてもらったことが沢山あり、それが更に涙を誘います。しかし、その思い出のなかでところどころ、おかしな点に気づきます。

通夜振る舞いで参列者が言葉をかわすと、その小さかったおかしな点が相互に関連づいていきます。そして、神様の裏の顔が徐々に浮かび上がっていきます。

果たして、坪井は本当に「神様」だったのでしょうか。

第34回横溝正史ミステリ大賞受賞作です。長編ながら文章が読みやすく、どんどん読み進んでいけます。そして、それぞれのささいな疑惑がどんどん関連づいて、真実が明かされていくところがとても面白いです。