2015年10月5日月曜日

733.「経済で読み解く大東亜戦」 上念 司

大東亜戦争の主たる原因を、全世界的な金本位制の採用とする斬新な提言です。

まず金の産出量の低下が通貨システムとしての余裕を失わせました。金と通貨が連動しているため、金産出量が減った場合には、金の国内からの流出を防ぐためには、国内で使う金を減らすか、外国から調達する必要があります。

当時、金保有量世界一だった英国はが金流出を嫌い、利上げしました。その結果、財政緊縮策が取られ、世界的な不況へと突入していきます。

長引く不況と困窮の生活のなかで人々は現状の「革新的な打開」を求め、極論に乗ってしまいます。

その時、コミンテルンが第6回世界大会で打ち出した方針が
「日本を蒋介石の国民党との泥沼の戦いによって消耗させ、さらにこの戦いにアメリカを巻き込み、日本が弱体化し切ったところで背後から襲って共産主義革命を達成する」というものでした。

日本はまんまとこの謀略に嵌まり、敗戦へと突き進んでしまったのでした。
経済という観点から戦争を語った興味深い本です。