2015年11月23日月曜日

770.「沖縄の米軍基地 ─「県外移設」を考える」高橋 哲哉

著者の考えは非常に偏向していると感じました。

引用されている資料は殆どが沖縄タイムスと琉球新報といった左派新聞ばかりです。

既にあるキャンプ・シュワブ内に滑走路を増設することを「新たな基地建設」とミスリードしています。

日本の米軍基地の74%が沖縄に集中しており、不公平だと主張していますが、この数字は米軍の専用基地に限定した数値です。この基地には、横田飛行場、横須賀海軍施設、厚木海軍飛行場といった自衛隊との共用基地が含まれておりません。共用基地を入れると、沖縄の基地は全体の22.6%となります。

『沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)平成26年3月』
(沖縄県HP)http://goo.gl/vwMSEB

(オ)米軍施設・区域の全国比
全国の米軍施設・区域:  132施設 1,027,153千㎡
本土の米軍施設・区域:  99施設  795,393千㎡
沖縄の米軍施設・区域:  33施設  231,761千㎡

全国に占める本県の比率:25.0%    22.6%


沖縄(沖縄県民)対本土(日本人)という構図を作り、日本人が沖縄県民を差別しているかのように主張しています。本当にそうなのでしょうか。

また、振興策といった経済に関する考察がなされていない点にも違和感を感じました。

中国の脅威に対抗することを、沖縄を「日本防衛」のための「捨石」として利用しているといいますが、沖縄も当然日本であり、中国が最初に狙うのは本州ではなく、沖縄自体だと思います。沖縄が侵略されることがないように防衛を考えるべきではないでしょうか。

そのときに、米軍基地を県外に移設すれば、その防衛の真空状態は自衛隊で埋める他によい方法が浮かびません。そうなれば、国防費の大幅増に繋がりますし、基地自体も減らないことになります。

最初は、沖縄の占領にともなった基地建設という悲しい歴史の産物でしたが、中国が脅威となった現状では沖縄占領を防ぐ重要な施設だと思います。フィリピンで米軍基地が撤退した後に中国が埋め立てをして南沙諸島の領有権を主張しているという事実がこの脅威の証明です。