「全農が独占的に農家や農協に高く農薬や肥料を売りつけている。」
「全中は、政治運動で司令塔の役割を果たしている。」
私もこのように信じていましたが、これらは全て嘘だそうです。
日本の農家の所得に占める「直接財政支出(税金からの支出)の割合は、主要国中最低で、アメリカが採用している輸出補助金制度もありません。
農家は全農から農薬を買い付けなければならない義務もありません。
全中は農協が支払う「賦課金」で成り立ち、支配するどころかお客様です。
農協は農家にとって利益を無、引いては日本国民の食の安全を守り、食料を安く安定して供給する役割を担っているそうです。どこに問題があって解体されるのでしょうか。
では、誰が解体を望んでいるのか。著者は、アメリカの金融業界と穀物メジャーだと指摘します。これらのグローバル企業がアメリカ商工会議所を動かして、日本政府に圧力をかけ、規制改革会議が要求通りの内容を通しているのです。
つまり、新自由主義に基づくグローバル企業が市場として有望な日本の農業と共済を簒奪するために、策を巡らしているようです。
農業や乳業を効率化すべきといっても国土の殆どが山林で狭い日本では、広大な土地を持つアメリカやニュージーランドに敵いません。しかもこれらの国は補助金も受けています。
海外市場を狙えといっても、米や小麦といった主要農産物では決定的な価格差があり、何回か買ってもらえても常食足りえません。
農協が存在しても、日本国民として不利益を与えられていないどころか、共済などでは利益を得ているので解体する理由をないと思います。食料安全保証の観点からも農協を守っていきたいと思いました。