2015年11月30日月曜日

777.「キャロリング」 有川 浩

倒産が決まった子供服メーカの最後の数日間に起きたスリリングな物語。

なんだか、文体がこれまでと違うような気がしました。現実的な描写を少し薄くしたような印象です。

登場人物の大和、航平、赤木のそれぞれが両親の夫婦関係によって傷ついて育っています。
母親を守るために強くなろうとしたが逆に母親から恨まれることになった大和。
両親の両方が好きなのに離婚により家庭が引き裂かれてしまう航平。
父親の借金返済に巻き込まれ、将来の夢も持てずに借金取りになってしまった赤木。

夫婦関係とお金の問題でトラブルに巻き込まれた3人。それぞれが望むような結末に至りませんでしたが、みなにクリスマスが訪れ、心の平穏を得ることはできたのではないでしょうか。