2015年12月3日木曜日

780.「日韓対立の真相」 武藤 正敏

著者は、2010年から2012年まで在大韓民国特命全権大使を務めました。外務省がどのように韓国と対峙してきたのか、内情がわかります。

その対応は、著者も言うように、左派にとっても右派にとっても不満でしょう。それは、外務省は韓国とうまく関係を保っていくことが目的で、関係を損なってまで、日本の考えを主張することは政治家の役割だからです。

だから、慰安婦問題でも、日韓基本条約で完全かつ最終的に解決したことや、慰安婦に強制性がなかったことを主張することを憚り、挺対協の姿勢がおかしいことを主張して、問題を解決すべきという、著者の主張に繋がるものと思います。

竹島について、日本は領土問題と考えているのに対し、韓国は歴史問題と捉えているという指摘は興味深いです。竹島の島根県への編入が1905年であり、日本が韓国を保護国化したのも同年であるため、これらを一緒にして植民地化の第一歩と捉えているとのことです。そうなると、反日運動のシンボルとなってしまったため、日本への返還は難しいものと思います。