2015年12月7日月曜日

784.「日本人に生まれて、まあよかった」 平川 祐弘

「日本が長い平和を享受できたのは、隣国と陸続きの国境を持たない島国という地理的事実と関係します」という指摘は正鵠を得ています。陸続きのモンゴル、チベット、ウイグルは侵略され、エスニッククレンジングされました。

日本が侵略されなかったのは、憲法9条があったからではなく、海に囲まれ、かつ米国の庇護下にあったからです。その証拠に、ワシントン条約締結までの、米国の占領がはずれたわずか数ヶ月間に竹島が占領されてしまいました。

尖閣諸島や沖縄が侵略されなかったのは、中国の海軍力が弱かったからでしょう。この数十年の軍事強化で占領できる力をつけたと思われます。だから、米国が沖縄から引いたら、侵略されることでしょう。

それを防ぐためには、スイスのように軍事力を強化し武力中立を確立するか、集団的自衛権という相互強力で米国の軍事力に頼るかではないでしょうか。丸腰で、「話せば分かる。」では、モンゴルの二の舞いだと思いました。

著者は、東京大学で民主党党首の岡田克也氏を教えたそうです。家永裁判が話題になると、岡田氏は朝日新聞の社説のような意見を述べたそうです。菅直人氏も仙谷由人氏も戦後日本の教育情報空間の中で育った優等生で、左翼系大新聞の模範解答を述べてきました。だからこそ、失敗が続いたと指摘します。

左派の自虐的史観を主張すれば出世できてきた戦後日本ですが、変動する世界には通用しないようです。