2015年12月9日水曜日

786.「アメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ 「日米近現代史」から戦争と革命の20世紀を総括する」 馬渕 睦夫

著者は、世界を一元的にコントロールする構想を推進する人々を「国際主義者」と定義づけています。第二次世界大戦当時の国際主義者は、「モルガン」、「ロックフェラー」、「シフ」、「カーン」、「ウォーバー」などです。

国際主義者は、世界を一元的にコントロールすることが目的であるため、社会主義、新自由主義などの具体的な手法にこだわらず、その手法は、時代とともに変遷します。第二次世界大戦当時は、国際主義=社会主義でした。

国際主義の対立概念は、民族主義です。民族主義は民族の利益のために、規制を儲け、利益を民族間で分配するからです。国際主義者は、社会主義により全世界を統一して、民族に利益をもたらす規制を排除し、自分たちが利益を上げることを狙いました。

構成員に利益を配分せず、一部が利益を独占することは、一見して社会主義と対立するように見えます。しかし、一部が大多数の同胞から利益を吸い上げるという仕組みは、社会主義の実体であり、現在の中国や北朝鮮に見られる構図です。国際主義者は、これを世界規模で行おうとしました。

そのために、ソ連のロシア革命を支援し、ソ連を南下させて中国に共産主義政権を樹立しようとしました。そのときに邪魔なのが、中国に権益を持つ日本です。そこで、日本を蒋介石の国民党と戦わせ、講話しそうになると、西安事件で蒋介石を拉致して国共合作を飲ませ、戦闘を泥沼化させたのでした。

現代では、社会主義という思想の脅威を感じることはほとんど無くなりました。しかし、国際主義者は、グローバリズムに衣替えしたのではないでしょうか。そうであれば、TPPなどの自由貿易の範囲が広がっていけば、国際主義者である国際金融資本が利益を総取りし、日本人などの個別の民族が搾取されていくというおそれを感じました。