それは、人生には資産形成以外の面もあるからです。1億円貯めても、それは更なる資産増のために使われ、他の用途には使えません。
そうすると、著者の生活は年収の300万円に限られます。300万円で一人で暮らすことはできても、家族を養うことは困難です。
1億円あれば生活は安心かと言えば、私なら絶えず株価下落のおそれを気にすることになったしまうでしょう。そして、様々の株の値動きが気になり、物事を考えること中心の仕事は手につかなくなってしまいます。
著者が目指している配当生活なら精神的に安定するでしょう。資産が1億円で5%の配当が得られれば、年収500万円です。しかし、実際に資産を1億円にするには、配当5%の株式を買っていたのでは到達できません。著者のように信用取引に手を出さなくてはならず、そうなると5%の配当は得られません。
そして、信用取引をする以上、常に株価に注目して、損切りや利益確定に奔走することになります。仮に2億円位までいった時点で全てを売却して5%の現物株を買うことができたとしても、それがずっと続くとも思えません。
結局は、株式を保有することはよいことですが、稼ぎ続けることができる仕事を能力を持つことが、生活や精神を安定をもたらすのではないかと思いました。