帝国主義は、領土の収奪と思われがちですが、この定義によればそれに限られません。本質は「所得の収奪」であるため、国際条約や協定で足ります。日米修好通商条約などの不平等条約は帝国主義の計略と言えるでしょう。
今日で言えば、「マーストリヒト条約」もこれに当たります。これにより欧州連合や単一通貨ユーロが導入されました。
2005年まで、失業率が欧州トップで「欧州の劣等生」だったドイツは、今やヨーロッパ唯一の黒字国となりました。なぜでしょうか。ドイツ人が倹約家で勤勉であり、緊縮財政が効果を発揮したからでしょうか。
違います。これらのドイツの特質はインフレ下では効果的ですが、デフレ下では過剰な供給を生み出してしまいます。その過剰な供給はどこへ行ったのか。それは、欧州連合の南の国々です。
生産性が高く、東西統一で東ドイツなどの教育水準が高く安価な労働力によって作り出された高品質で低価格の商品は関税撤廃と統一通貨ユーロにより、堰を切ったように南欧へ流れ込みます。こういった一方的な輸出が起きた場合、相手国は関税を引き上げ輸出国の為替が上がるため、自然と調整されます。
しかし、「マーストリヒト条約」で関税は撤廃され、単一通貨を使っているため、南欧諸国は無防備で一方的に打たれ続けることになります。その結果、ギリシアはデフォルトし、スペインもデフォルトしかけています。
帝国主義は、グローバリズムの一形態だと思います。TPPが日本にとっての「マーストリヒト条約」にならないことを願うばかりです。