2015年12月28日月曜日

805.「ヒポクラテスの誓い」 中山七里

死因が異なる5つの短編小説がまとまり、一つの長編小説となっています。5つの事件は全て監視官が問題ないと判断しましたが、法医学の権威・光崎藤次郎教授により、その判断がひっくり返されます。

それぞれの死因が異なるため、それを発見するための手がかりも異なり、さらに監視官が見落とすほどの手がかりであるため、非情に詳細な知識が必要とされます。それを素人である読者に分かりやすく説明するという著者の文章力と、そこまで詳しく調べた取材力にはただ感嘆するのみです。

それぞれの短編が高いレベルを保たれ、そしてそれらが最後の短編で一本の横串で束ねられる点に爽快感があります。

意外な舞台設定と専門的な医学知識からなる医療ミステリーでした。