2016年1月7日木曜日

815.「逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法」 桜井 博志

2015年の12月初旬に、インターネットラジオの公開収録に参加しました。その時のゲストが著者の桜井さんです。

それまで「獺祭」という日本酒を知りませんでしたが、安倍首相がオバマ大統領に贈った山口県の有名な日本酒だそうです。

著者は、父親の急死により実家の酒蔵を継ぐことになります。当時、売上高が毎年、前年の80%という緩慢な業績悪化を続けていました。山口県の酒造のなかでは第4位で「旭富士」というブランドは知られていたものの、紙パックなどの工夫を凝らしても売上は浮上しませんでした。

そこで、著者は商品を大吟醸にしぼり、「旭富士」のブランドを捨てて、新たに「獺祭」のブランドを立ち上げます。そして、市場を山口県から東京、パリと切り替えて新たなブランドと市場の構築に挑戦します。

杜氏に頼らないで社員のみで製造し、業界の通説を打ち破って冬場のみならず一年中生産するなどの改善により、「獺祭」はあらたな顧客を創造していったのでした。

本書から、日本の文化や伝統に自身を持てない日本人は、外国へいっても通用しないことに気づきました。

さらに、日本の強みは「改革」ではなく「改善」、つまり自己変革し続ける「保守」であると感じました。それまでの伝統をすべてひっくり返す「易経革命」でなく、少しずつ改善し続けていくことと思いました。