競争しない競争戦略は、大きく分けて「棲み分け」と「共生」に分かれます。
「棲み分け」には、ニッチ戦略と、不協和戦略があり、
「共生」は、協調戦略となります。
さらに、ニッチ戦略には10類型、不協和戦略には4類型、協調戦略には4類型あります。
つまり、本書の「競争しない競争戦略」には、合計18類型あることになります。もうこの時点で、これらの戦略は、数が多すぎて実用的ではないという感じがします。
このそれぞれの戦略に、今、日本で成功している起業を当てはめているので、頭の整理ができて分かりやすいです。
ただ、18もの戦略は数が多すぎるので、細分化されすぎており、分類として適切かどうか、分かりません。
また、この当てはめも、成功した結果を帰納法で分類したので、演繹法によって戦略を実践して、成功を再現することは難しいと感じました。
例えば、星野リゾートの成功事例が紹介されていましたが、本書では星野社長がコーネル大学で学んだ手法で成功したように読めます。しかし、実際には、その手法は成功せず社員にそっぽを向かれ、そこから自分の頭で考えた方法を色々と試して、成功に至ったのでした。
つまり、こういった戦略にそってやったからといって成功が約束されているわけではないと思います。試行錯誤して、なんとかうまくいった過程を後付けで理由づけしたものが戦略であり、たまたまその環境だから成功したのであり、再現性はないと思います。だから本書でも、戦略が18にもなってしまったのではないでしょうか。
多くの企業がよく調べられ分析されているので、様々なビジネスモデルを知るという点では、優れた本だと思いました。