2016年6月1日水曜日

935.「全文 リットン報告書【新装版】」 渡部昇一 解説・編

教科書で目にした「リットン報告書」ですが、一度も読んだことがありませんでした。そもそも、日本語で読めるものとも思いませんでした。

全文訳があると知り、無味乾燥であることを覚悟して読み始めました。

予想外に、面白く、当時の英米視点からの満州事変が描かれています。過大にシナの主張を取り入れいていますが、しっかりとした状況分析です。

一番気になったのが、「シナ」と呼んでいるものの範囲についてです。これが曖昧でかつ、かなり広いです。国民党に限らず、軍閥全てを含んでいます。そして、満州をシナの領土とし、満州人を少数民族と考えています。

満州は、そもそも女真族の領土で、女真族がシナを占領して清ができました。だから、満州はシナの領土ではなく、その証拠に満州とシナの間には、両国を区切る万里の長城があります。

シナ人が自国でない満州での待遇について、文句を言うのは当然で、自国民の不満としてそれを鵜呑みにした調査団の認識に誤りがあります。

調査団自身も、万里の長城より南はシナではなかったと認識しています。しかし、満州に定着した数百万人のシナ農民の人種、文化、国民感情にシナ化したとしています。

これが漢人のやり方です。戦争に勝てばそこを占領し、負けてもその地域で漢人が繁殖し、元々いた人達を同化してしまい、結局、漢人の土地としてしまいます。このやり方は現代でも変わらないので、池袋や沖縄は注意が必要です。